以前、分散学習についてや、インターリーブ学習法などをご紹介しましたが、今回はその勉強と関わりのある効果、ツァイガルニク効果についてやっていきたいと思います。
ツァイガルニク効果とは?
ツァイガルニク効果は心理現象の1つです。どのような効果なのかというと、人間は達成できた物事よりも、中断している事、達成出来なかった事の方がよく記憶に残っている。という現象です。
「ツァイガルニク効果」の他にも、「ゼイガルニク効果」「ゼイガルニック効果」とも呼ばれるとのこと。
身近なところで言うと、テレビを見ている時にいい所で流れるCMや、話題の映画が近々上映される時に「最初の10分だけ特別に公開!」なんて形でちょっとだけ先行公開してたりするのもいい例です。
こうすることで「この先どうなるのか?」と続きが気になってしまいます。テレビから離れられなくなるでしょうし、映画館に足を運ぶことになります。
アニメがいい所で終わるのも、まんが王国やイーブックイニシアティブジャパン eBookJapanなどが、1話、一巻だけ無料で見せるのも同じことです。(遊戯王の次回予告は別かもしれませんが。)
知りたい内容、興味を持つものを一度遮断することによって、より気になるようにさせるというのがツァイガルニク効果の基本的部分であり、世の中にありふれた方法になっています。
ツァイガルニク効果の成り立ち
最初はドイツのゲシュタルト心理学者クルト・レヴィンが、レストランのウェイターが支払い前の客の注文はよく覚えているのに、支払った後にはほとんど内容を覚えていないことに気づきました。
ここから「人間は目標に向かって行動するときは、緊張感が生まれ持続するが、目標を達成するとその緊張感から解放される」という仮説を立てました。
ブルーマ・ツァイガルニクによる実験
ソビエト連邦(今のロシア)の女性心理学者ブルーマ・ツァイガルニクによってこの仮説が検証されました。
その実験では大人から子供まで164人を対象に、パズルを解く、段ボール箱を組み立てるなどの簡単な作業を行ってもらいました。
その間、無作為かつ定期的に被験者選び、作業を中断させて別の作業をしてもらいました。
これにより、作業を中断させられ別の作業に移った被験者と、邪魔が入らず完遂して次の作業に移った被験者に分かれました。
すべての作業を終わったときに「今までどんな作業をしましたか?」と質問しました。
すると作業を中断された方が、完遂できた被験者の数倍の種類を答えられました。しかも、被験者の作った作業のリストの上位には中断させられた作業が多くを占めていました。
このことから、まだ終わっていない、中断された課題は、達成済みの課題より想起されやすいとわかり、これに自分の名前をとって「ツァイガルニク効果」と名付けられました。
仕事や勉強でのツァイガルニク効果活用法
実際に生活していく中で、どのような場面で使っていけばいいのか見ていきたいと思います。
勉強でツァイガルニク効果を使う場合
学生時代にキリのいい所まで勉強して、休憩したら若干の達成感で満足してしまい、次の勉強になかなか取り組めないといった経験皆さんもあるのではないでしょうか?
こんな時、あえて中途半端なところでやめることによって「最後までやりたかったのに、残っていてなんだか消化不良だ。」という心理が働き、記憶に残りやすく、かつ早く勉強したくなり継続力も身につくという一石二鳥の状態になります。
ちなみに、25分集中して5分休むというのを繰り返すポモドーロテクニックは非常におすすめです。やることによって違いますが、25分ぴったりに終わることはあまり無いので、この効果にうってつけです。
仕事でツァイガルニク効果を使う場合
「このタスクはそこまでの緊急性は無いな」と、つい仕事を先送りにしてしまうという方はいらっしゃいますでしょうか?
そんな時は、面倒くさいとたとえ思っていても、最初の1歩だけでも仕事に着手しておくことがおすすめです。一度手をつけているので、中途半端なことにモヤモヤして、緊張感を持つことができていつもより早く終わらせることが出来るようになると思います。
なんでも中途半端にすればいいわけでは無い
馬鹿とはさみは使いようという言葉があるように、この効果も使い方次第で良くも悪くも働いてしまいます。
仕事でもなんでもそうですが、あえて中途半端に終わらせることにより、焦りやストレスを抱えてしまう事があります。
さらに、中途半端にするという事は一時的に、物事を先延ばししている状態になります。常に頭の片隅にそのことがあるので、集中を阻害してしまいます。
なので、「今日はここまでは必ず終わらせる!」というようにあらかじめ全体のゴールを設定することによって、ストレスも少なく活用できるのではないかと思います。
最後に
今回はツァイガルニク効果について見てきました。こうしてみると、世の中のありとあらゆるところでこの効果が使われていることがわかりますね。
仕事や対人会計など、非常に応用しやすい効果かと思いますので、ぜひ日常的に意識して使ってみてください。
今回話題に上がった、分散学習、インターリーブ学習、ポモドーロテクニックに関して詳しく書いた記事もあるので、併せて読んでみてください。
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