「黒牢城」感想・レビュー!:村重と官兵衛の戦国推理ミステリー

米澤穂信さんの書かれた「黒牢城」を読みました。

以前本屋に立ち寄った時に、大々的に推されていた1冊で見たことはあったのですが、この度文庫になっていたので読んでみました。

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歴史 × ミステリーの作品で、戦国時代を題材にして描かれています。

この記事を書くにあたり、調べていると

・第166回直木賞受賞
・第12回山田風太郎賞

という華々しい作品であることを

読み終わった後に知り、「とても有名な作品だったのか。」となりました。

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「黒牢城」あらすじ

舞台は天正6年(1578年)。織田信長が死ぬ本能寺の変の4年前の話。

場所は有岡城(今の兵庫県伊丹市にあるお城)。

城主としての役目を織田信長より任命されていた「荒木村重」が突如として謀反を起こす。

有岡城にて籠城(立てこもり)して、西の毛利家の援軍を待っている状況。

織田信長陣営から説得するために使者として「黒田官兵衛」が訪れ、荒木村重に説得を試みるも失敗。

官兵衛は土牢(地下牢)にて幽閉されることになる。

物語はここから始まる。

史実どおり約1年、有岡城は織田に対し籠城戦を行うのだが、

その1年の間、場内では複数の事件が起き、城主である荒木村重が城内の治安維持や人心の乱れが起きぬよう、官兵衛の力を借りて解決していく物語。

「黒牢城」感想

前提として、私は戦国時代がゲームの影響で好きなので、時代背景や史実の情報を知った状態で読んでいました。

最初は荒木村重が主人公で「あ~黒田官兵衛を投獄して、挙句逃げた人ね~」くらいの感じでした。

確かに、1年ほど籠城していたのは知っていたけど、その間に何が起きていたまでは知りません。

その間の出来事を描くというのが、何という所に目をつけたのだと思いました。

戦国乱世という下剋上当たり前で、誰を信頼すべきかわからない時代。

「死」というものが身近にあったがだからこそ、猜疑心とミステリーを掛け合わさり、疑うのが「普通」と思わせることが、単なる謎解き以上の人間ドラマを演出していると思いました。


四方を敵に囲まれ、籠城しているという閉鎖的空間と、兵糧の制約。

恥を塗るくらいなら、いっそ無理でも戦をして、華々しい最後を飾りたいと考える武士達。

勝ち筋であった毛利方の援軍が来ないことへの不安や疑念。事件を追うごとに少しずつ揺らぐ城内。追い詰められていく村重。

緊張感が常にあり読む手が止まりませんでした。

また、映画「羊たちの沈黙」と同じようなフォーマットで話は進んでいきます。

荒木村重が事件の解決にあと一歩という所で、どうしてもわからない問題に頭を悩ませる。

そこで村重は、土牢に捕らえた天才軍師黒田官兵衛のもとへ。

官兵衛は村重に知恵を貸し、村重は事件を解決させる。

この事件に行き詰ったら、敵だろうと格子越しにヒントを求める感じ「羊たちの沈黙」ぽくないですか?

官兵衛の非常に頭がキレる様が、まるでハンニバル・レクターのようだと思った。

そしてハンニバルと同様に官兵衛がただ知恵を貸している訳もなく。。。


黒田官兵衛の息子は、信長に人質になっていたが、官兵衛の裏切りと疑われ、信長に殺されたと知らされる。

そこから官兵衛は村重を陥れるべく、策をめぐらせる。

ここから私は、いかに乱世で死が身近でも、どんな人間にも弱点はあって、所詮人は人なのだというのを表したかったのかなと感じた。

まさかまるで官兵衛の手のひらの上で全て踊らされたかのように描かれていたのを読んで、官兵衛の頭のキレる感じが良く出ていて素晴らしかった。


特に第4章は、それまでに起きた3つの事件が繋がり、村重も見過ごしていた、否、見なかったことにしていた事実に向き合うことになる。

出てくるキャラクター全員にしっかりスポットライトが当たっているため、考えてもわからぬ答えを求めて、犯人が知りたくてどんどん読んでしまった。

最初は歴史と違うエンディングを迎えるのかな?と考えていましたが、「信長協奏曲」と同様に、なるほどこうやって史実に合わせていくのかといったタイプのオチでした。

「黒牢城」まとめ

今回は米澤穂信さんの「黒牢城」を読みました。

直木賞も取った本作。

若干の戦国時代の歴史背景が必要かもしれませんが、なくてもミステリーとし十分楽しめると思います。

そのあたりの知識が多少なりともあると、さらに何倍も楽しく読めると思います。

戦国の世の中を生きる村重を是非見て頂きたく存じます。

とても面白い作品なので是非読んでみてください。

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