英語で「問題」を意味する problem・issue・trouble。日本語ではどれも「問題」と訳されますが、ネイティブはこれらを明確に使い分けています。
この記事では 語源(ラテン語・古フランス語のルーツ)から3語の意味の違いを説明します。語源を知ると、単語の意味が「なぜそうなるのか」まで理解でき、応用力が格段に上がります。
先に結論から
problem = 「前に投げられた障害物」→ 解決が求められる具体的な問題
issue = 「外へ出ていくもの」→ 議論・検討・争点となる問題
trouble = 「かき混ぜられた状態」→ 感情的な不安・面倒・苦労
problem ─ 「前に投げられた障害物」
problem/ˈprɒbləm/名詞
problemの語源
pro- 前へ(ギリシャ語)
+
ballein 投げる(ギリシャ語)
↓
problema 前に投げられたもの
「前に投げられた障害物・課題」が原義。道の前に石が投げられたイメージ。
「前に投げられた」ということは、自分の前に立ちはだかっている状態です。
つまり problem は「解決されることを待っている具体的な障害」。
「超えるか、解決するか」という行動を促す対象。そのため solve a problem(解決する) と自然につながる。
problem の例文
・We have a problem with the server.
サーバーに問題が発生しています。(→ 解決できる障害)
・Can you help me solve this problem?
この問題を解決するのを手伝ってもらえますか?
・The real problem is a lack of communication.
本当の問題はコミュニケーション不足です。
・”No problem!”
「もちろんです!(障害になりませんよ)」
issue ─ 「外へ出ていくもの」
issue/ˈɪʃuː/名詞・動詞
issueの語源
ex- 外へ(ラテン語)
+
ire 行く(ラテン語)
↓
exire → issue 外へ行く・出口
「外へ出ていくもの・出口・流出」が原義。
「外へ出ていく」というイメージから、issue は閉じた問題ではなく、オープンに議論・検討される争点を指します。issue は「議論・共有・検討される問題」というニュアンスを持つことが多く、problem と異なり、issue は「テーブルの上に出された議題」のニュアンス。
そこから「議論・争点として社会に出ていく問題」「雑誌の号(外へ出された一冊)」「法的な子孫(家から出ていく者)」など多義的に派生した。
だから “raise an issue”(議題を出す)・”address an issue”(争点に取り組む)という表現がぴったりというわけ。
また “issue” には「雑誌の号」(外に出された一冊)や「発行する」(動詞)という意味もあり、すべて「外へ出す」という語源から一貫しています。
issue の例文
・Climate change is a pressing global issue.
気候変動は緊急性の高いグローバルな争点です。
・I’d like to raise a few issues with this proposal.
この提案にいくつか懸念点を提起したいと思います。
・The government issued a new policy statement.
政府は新たな政策声明を発表した。(動詞「発行する」)
・I filed a bug issue on GitHub.
GitHubにバグのissueを起票しました。
trouble ─ 「かき混ぜられた状態」
trouble/ˈtrʌbəl/名詞・動詞
troubleの語源
turbula 乱れ・騒乱(ラテン語)
↓
turba 群衆・混乱(ラテン語)
↓
troubler → trouble かき乱す(古フランス語)
「液体をかき混ぜて濁らせる・かき乱す」が原義。
澄んだ水が泥水になるイメージ。そこから「心をかき乱す状態 = 不安・苦労・面倒」へ派生した。problem(解決すべき障害)・issue(争点)とは異なり、感情的・内面的な乱れのニュアンスが強い。
だから “having trouble sleeping”(眠れなくて困っている)は心身が乱れているニュアンスをぴったり表現します。
また動詞の “Sorry to trouble you”(お手数をおかけします)は「あなたの平穏な状態をかき乱してしまい申し訳ない」という感覚から来ています。
trouble の例文
・I’m having trouble sleeping lately.
最近、眠れなくて困っています。(心が乱された状態)
・Sorry to trouble you, but could you check this?
お手数をおかけしますが、確認していただけますか?(動詞)
・He got into trouble at school.
彼は学校で問題を起こしました。(混乱を起こした)
・The engine is giving us trouble.
エンジンの調子が悪くて困っています。(乱れが生じている)
語源で整理する3語の違い

語源を並べると、3語の違いが鮮明になります。
| 単語 | 語源イメージ | 核心的な意味 | セットになる動詞 |
|---|---|---|---|
| problem | 前に投げられた障害物 | 解決すべき具体的な問題 | solve / fix / address |
| issue | 外へ出ていく争点 | 議論・検討・懸念の対象 | raise / tackle / discuss |
| trouble | かき混ぜられた乱れ | 感情的な苦労・面倒・不安 | cause / have / get into |
| 状況 | 最適な単語 | 理由 |
|---|---|---|
| PCが動かない・バグがある | problem / issue | 解決できる障害(problem)/ ITでは issue も標準 |
| 社会問題・政治的議論 | issue | 社会に「出ていく」争点・テーマ |
| 眠れない・体調が悪い | trouble | 心身が「かき乱された」状態 |
| 会議で懸念を伝える | issue | 「テーブルに出す」争点。ソフトな印象 |
| 数学・パズルの問題 | problem | 「解かれるべき障害物」が原義の典型 |
| 相手に迷惑をかけるとき | trouble | 相手の平穏を「かき乱す」ことへの配慮 |
まとめ
語源から整理すると、3語の「なぜ」が見えてきます。
- problem(ギリシャ語 pro- + ballein)=「前に投げられた障害物」→ 解決を促す具体的な問題。solve / fix と相性抜群。
- issue(ラテン語 ex- + ire)=「外へ出ていく争点」→ 議論・検討・懸念のテーマ。raise / tackle と相性抜群。
- trouble(ラテン語 turba)=「かき混ぜられた乱れ」→ 感情的な苦労・面倒・心の乱れ。have / cause / get into と相性抜群。
語源を知ると、単語の意味だけでなくなぜその動詞と組み合わさるのかまで理解できます。ぜひ同族語も一緒に覚えて、語彙を一気に広げていきましょう!
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